学会について

日本国際連合学会は、国連システムの研究とその成果の公表および普及を目的に1998年に設立されました。
2025年4月時点の会員は287名です。さらなる皆さまの参加をお待ちしています。

理事長挨拶

2025年11月、第10期を迎えた日本国際連合学会の理事長に推挙され、互選を経て就任した星野俊也と申します。本学会は学会規約第2条にあるように「国連システムの研究とその成果の公表及び普及」を目的として1998年10月に設立され、この目的を達成するため、1)国連システムに関する研究の促進並びに各種の情報の収集、発表及び普及、2)研究大会、研究会及び講演会等の開催、3)機関誌及び会員の研究成果の刊行、4)内外の学会及び関係諸機関、諸団体との協力、5)その他本学会の目的を達成するために必要かつ適当と思われる諸活動、を行うことが目指されています(第3条)。理事長としては、したがって、これらの活動の円滑かつ効果的な実施のため、これから3年間、会員の皆さまとともに、微力ながら日本における国連研究の深化と発展に尽力をしてまいる所存です。

本学会のユニークな特徴の一つは、研究対象である「国連システム」が主に平和と安全、持続可能な開発、人権といった3つの政策分野の課題に関し、グローバルとローカルの両面から実務的な活動を行う機関であることから、学術団体でありながら、研究者と実務者ないし実務経験者が会員となり、対等な立場からそれぞれの知見を相互にリスペクトし、刺激し合い、理論と実践の双方の観点から課題の発見と解決に向けて有益でありかつ効果的な分析と検証ができるところにあると考えます。そして、政府間国際機関としての政治的なフォーラムとしての国連が引き続き主権国家の論理で動いていく一方で、国連機関のオペレーショナルなマンデートを実施していく上での実務者の範囲は「マルチステークホルダー」といい、いまや市民社会やプライベートセクターも含め、大きく広がっています。

これは個人的な話になりますが、私が上智大学の学部時代、言語学者になろうと仲間と勉強に勤しむなか、対外政策決定論の研究者でありながら国連日本政府代表部公使として実務をこなされた緒方貞子先生が着任され、先生の学部ゼミの一期生に迎い入れていただき、ご指導を受けた頃の原体験はいまも鮮烈に残っています。後に国連難民高等弁務官などの要職に就かれた緒方先生ですが、「生」の国連外交の現場で揉みくちゃにされながらも決して学者としての視点を失わず、むしろリアルでありつつも理論的な視点で政治や政策の本質を見極め、さらに説得的に問題点を洗い出して実際の行動や結果につなげようとされる清廉なスタイルはもうすでにこの頃には明らかでした。そうした先生の姿勢に触発され、国際関係論や国連研究に「転向」した私としては、この国連学会を通じ、会員の皆さまが、さまざまな分野で、理論と実践の両面から、国連システムという装置を用い、現状の厳しい課題に向き合いつつも、よりよい未来に向けて、マルチステークホルダーの誰が何をどうすればそれを打破できるのかまで考え、変革をもたらす、そんな実証的な議論のできる場にしてまいりたいと願っています。

そもそも本学会の設立には、外務省内に国連外交実務の現役やOBが国連の活動に知見を持つ学者や研究者との定期的な情報や意見交換の場として作られていた「国連政策研究会」(1991年~2010年)のような機会をより幅広い専門家、有識者の参加を得て進めることを構想した緒方先生のご意向が反映されています。当時、この研究会は国連難民高等弁務官として在外勤務をされていた緒方先生に代わり渡邉昭夫、横田洋三両先生が学者側の幹事役としてリードをしており、その補佐として私や山田哲也先生(本学会前理事長)などが補佐として研究会にも加わり、学会の設立準備にも関わった思い出があります。そして本学会は、明石康先生を初代理事長にお迎えし、1998年10月、コフィ・アナン国連事務総長(当時)の訪日のタイミングを捉え、国連大学において発足されました。

本学会の第10期の理事の任期は2025年10月から2028年9月までの3年であり、その最終年には本学会設立30周年を迎えます。それに加え、2025年は国連創設80周年で、2026年は日本の国連加盟70周年という節目の年にあたります。カレンダー的にはこうした「周年記念」が続きますが、現実の国連システムを取り巻く政治環境は、おそらく1945年の創設以来最も厳しいものになっているといっても過言ではないでしょう。それは、特にマルチラテラリズムの危機と行財政の危機として顕在化しています。

マルチラテラリズムの危機は、国連の安保理常任理事国を含む多くの加盟国が国連憲章の理念や原則に背馳する行動を取り、問題解決よりも問題の一部になり、合意形成が極めて難しくなっていること、そして、国連機関の行財性の危機に関しては、米国のトランプ政権の国連機関や国際合意からの離脱や脱退の動きは顕著ですが、それにとどまらず、多くの加盟国で国連機関の活動財源である分担金の未払いや任意拠出のカットが進み、その結果、多くの機関で大幅な人員削減や活動の見直し、縮小を余儀なくされているような深刻な状況です。

アントニオ・グテーレス事務総長が昨年、国連創設80周年を祝賀するよりもまず先に「UN80イニシアティブ」を打ち出し、国連システムの抜本的な改革に踏み出したことはご承知のことと思います。ここでは国連機関の活動の効率化、マンデートのライフサイクルの見直し、そして組織再編という3つのワークストリームが立ち上がり、作業が続けられています。こうしたなか、2015年の国連持続可能な開発サミットで合意された「持続可能な開発目標(SDGs)」のゴール年である2030年まであと4年。目標達成の進度が大幅に遅れるなか、国連では「未来のための約束」といった政策文書も打ち出され、私たちは世界各地のさまざまなローカルな問題に加え、国境を越える地球規模の課題や科学技術の急速な進展のインパクトなど、新たな挑戦にも向き合うことになります。

本学会のこれから、そして会員の皆さまのこれからには、これまでよりもさらにいっそう複雑な、そして未曽有のレベルでの地政学的、地球的、さらには行財政的な挑戦が複合的に絡まり、国連システムがその役割や、存在意義さえも問われる時代にあって、日本と世界の「国連研究」をリードしていくことが求められます。激しい逆風のなかにあっても、なぜ国連について研究・探究をするのかといえば、国連だからこそできることがあるからであり、国連システムを活かし、どうよりよい世界の構築につなげていくかを研究することがきわめて重要だからにほかなりません。ですので、ぜひ、そうした時代感覚や時代の要請ということも認識し、皆さまと共に「国連システムの研究」に従事し、学会を盛り立てていければと思います。

なお、当学会の今期の理事長を役を仰せつかった私ですが、現在は所属していた大学では名誉教授になり、本務は国連システム合同監査団(JIU)という国連システムのおける唯一の独立の監査機関の監査官の一人として、スイス・ジュネーブの国連欧州本部に在勤をしています。これまでの学術研究と実務経験を踏まえ、国連事務局から専門機関、基金・計画などまで、それぞれの機関の業務の効率性や効果、マネジメントの在り方や、国連システムの諸機関のアカウンタビリティやガバナンスに関わる横断的なテーマについて分析・評価・勧告する業務に就いているためですが、本務に支障のない範囲で本学会の理事長としての職責はしっかりと果たしてまいる所存です。ですが、こうした制約のなか、本学会を通じ、ますますその重要性を増す「国連システムの研究」を盛り立て、クオリティやエクセレンスを高めていくためには、私をご選出してくださった理事会の皆さまにはすでにご協力のお願いした通りですが、本学会の会員のすべての皆さまのご協力にもぜひご協力を賜りたく存じております。そして、学会の将来に向けての持続可能な基盤づくりとして、役員の世代交代や若手の研究者・実務者の入会の促進や活動の場の充実なども積極的に進めたいと願っています。

理事長就任にあたり、会員の皆さまとはぜひともこうしたビジョンを共有し、一緒に日本国連学会ならではの活動をさらに充実させてまいれますよう、どうかよろしくお願いいたします。

日本国際連合学会理事長
星野俊也(大阪大学名誉教授・国連システム合同監査団監査官)

日本国際連合学会 規約等

日本国際連合学会 歴代理事長

在任期間
初代理事長明石  康  AKASHI, Yasushi1998.10~2007.09
第2代理事長渡邊 昭夫  WATANABE, Akio2007.10~2010.09
第3代理事長横田 洋三  YOKOTA, Yozo2010.10~2013.09
第3代理事長大泉 敬子  OHIZUMI, Keiko2013.10~2016.09
第4代理事長神余 隆博  SHINYO, Takahiro2016.10~2022.09
第5代理事長山田 哲也  YAMADA, Tetsuya2022.10~2025.09
第6代理事長星野 俊也  HOSHINO,Toshiya2025.09~現在

理事・監事の構成

理事長星野俊也
事務局長真嶋麻子
企画主任秋山肇
編集主任赤星聖
渉外主任菅原絵美
広報主任井上健
理 事赤星聖、秋山肇、井上実佳、井上健、大平剛、上野友也、佐渡紀子、菅原絵美、杉浦功一、半澤朝彦、広瀬訓、星野俊也、真嶋麻子、望月康恵、渡邉智明
監 事秋月弘子、西海真樹

(任期:2025年10月~2028年9月)

特別顧問

特別顧問明石康
渡部昭夫

(2023年現在)

運営委員会構成

理事長星野俊也
事務局長真嶋麻子
企画主任秋山肇
編集主任赤星聖
渉外主任菅原絵美
広報主任井上健

(任期:2025年10月~2028年9月)

各種委員会構成

主任委員
企画委員会秋山肇川口智恵、小林綾子、佐藤量介、宮下大夢
編集委員会赤星聖小川裕子、軽部恵子、菅原絵美、山根達郎、吉村祥子
渉外委員会菅原絵美玉井雅隆、樋口恵佳、渡邉智明、堀尾藍
広報委員会井上健服部正喜、平井華代
事務局長真嶋麻子

(任期:2025年10月~2028年9月)